出展者

本展でご紹介するのは、歴代の伝統文化ポーラ賞受賞者や、ポーラ伝統文化振興財団制作の記録映画に出演していただいた6件の伝統文化の担い手です。
「伝統工芸」「伝統芸能」「民俗芸能」各分野の第一線に立ち、歴史を経て受け継がれてきた伝統に向き合い、そこに今を生きる人々の心にふれる新たな美意識を生み出している人たち。本展では、出展者それぞれの作品や舞台を生み出すわざ、美意識や想いといった、無形の伝統文化の本質を感じていただければ幸いです。

プロフィール

伝統芸能

二十六世観世宗家 観世清和

二十六世観世宗家。重要無形文化財総合認定保持者。
1959年 二十五世観世左近元正の長男として生まれる。1990年 宗家継承。観阿弥・世阿弥の子孫。観世流家元として年間80番以上のシテを勤め、その数は斯界随一であり、能楽界を代表する。国内はもとより世界各地で公演、中でも2016年7月 ニューヨーク・リンカーンセンターにおける招聘公演(5日間6公演)は連日満員の盛況で極めて高い評価を得る。2017年には、渋谷区・松濤「観世能楽堂」を観世家ゆかりの地「銀座」へ移転し約150年振りの帰還を果たした。さらに(独)日本芸術文化振興会評議員として日本の伝統芸術の保存と継承に寄与し後進の育成にあたる。芸術選奨文部大臣新人賞、フランス文化勲章シュバリエ、芸術選奨文部科学大臣賞、伝統芸能ポーラ賞大賞、平成27年紫綬褒章、JXTG音楽賞など多数受賞(章)。
著書・共著・監修に『観世清和と能を観よう』(岩崎書店)、『新訳 風姿花伝』(PHP)、『能はこんなに面白い』(小学館)などがある。
web | https://kanze.net

伝統工芸

加賀象嵌 中川衛

1947年石川県生まれ。彫金の技法のひとつで、石川県に伝わる伝統工芸「加賀象嵌」の第一人者。その経歴は異色で、金沢の美術大学でデザインを学んだのち、就職した大阪の電機メーカーではプロダクトデザイナーとして活躍。29歳で加賀象嵌に出合い、当時ふたりしかいなかった加賀象嵌の技術継承者のひとり、高橋介州に弟子入り。石川県工業試験場で伝統産業の技術指導の職に就きながら、加賀象嵌の技術を学ぶ。伝統的な技法を基礎としながら、幾重にも金属を重ねて精緻な美を生み出す「重ね象嵌」の技法で表現の幅を広げ独自の視点でベースとなる器物、文様をデザイン。革新的で叙情性あふれる作品をつくりだしたことが評価され、2004年、重要無形文化財「彫金」保持者(人間国宝)に認定。現在、精力的に作品制作に励むとともに、金沢職人大学校、金沢卯辰山工芸工房などで後進の育成にも力を注ぎ、技術の普及に尽力している。
出演記録映画 | http://www.polaculture.or.jp

伝統芸能

京舞井上流 井上安寿子

昭和63年能楽観世流九世観世銕之丞と京舞井上流五世家元井上八千代の長女として京都に生まれる。2歳より稽古を始め、四世及び五世井上八千代に師事。3歳で「四世井上八千代米寿の会」にて初舞台(上方唄「七福神」)。平成18年井上流名取となる。平成23年京都造形芸術大学卒業。平成25年井上安寿子主宰の京舞公演「葉々(ようよう)の会」を発足。同年第50回なにわ芸術祭新進舞踊家競演会新人賞、平成27年京都市芸術新人賞、平成28年第36回伝統文化ポーラ賞奨励賞、平成30年東京新聞第1回日本舞踊新鋭賞、平成31年芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。
web | http://www.arc.ritsumei.ac.jp/k-kanze/

伝統工芸

九谷赤絵 見附正康

1975年石川県生まれ。加賀市片山津に工房を構え、九谷焼の伝統技法のひとつ「赤絵細描」の作品を制作。子どものころから書道や絵画を得意とし、高校卒業後、石川県九谷焼技術研修所へ進む。九谷焼の基礎的な技術を学びながら、途絶えていた赤絵細描を復興させた第一人者である福島武山に出会ったことで赤絵細描に魅了される。卒業後、外弟子として10年間師事して技術を習得した。伝統技法を受け継ぎながらも、緻密な線で描かれた遠近感ある独特な文様で構成された茶器、大皿などの作品は、白の磁肌に艶を配した落ち着いた赤色が映え多くの人々を魅了している。2010年、第1回金沢・世界工芸トリエンナーレ展(金沢21世紀美術館)、2014年、日本スイス国交樹立150周年記念の一環として行われたロジカルエモーション-日本現代美術展に出品してスイス、ポーランド、ドイツを巡回するなど、国内外の展覧会に出展。同年に三重県で開催された第9回パラミタ陶芸大賞展で大賞を受賞した。

民俗芸能

岩崎鬼剣舞保存会

岩手県北上地方の農村地帯に古くから伝わる民俗芸能。北上市に13ある鬼剣舞の団体のうち、岩崎鬼剣舞はその源流といわれている。発祥は大宝年間(701〜704年)、修験の祖である役行者(小角)が念仏を唱えながら踊ったことが始まりとされ、大地を踏みしめ邪気を払う「反閇(へんばい)」が「ケンベイ」「ケンバイ」と発音されたことで、「剣舞」の字があてられたといわれている。念仏を唱えながら踊る「念仏剣舞」の一種であるが、異形の面をつけて勇壮に踊るところから、明治以降、「鬼剣舞」と呼ばれるようになった。踊り手は基本的に8人一組で構成されるが、演目によっては4人、6人、あるいは2人でアクロバット的な余興として踊ることもある。盆になると鬼剣舞の一団が家々を訪れ父祖たちの霊をなぐさめて踊っている風景がよくみられた。現在、夏油温泉かがり火公演(7〜8月)、北上みちのく芸能まつり(8月)、岩崎二前神社祭礼(10月)などで公演を行っている。
出演記録映画 | http://www.polaculture.or.jp

民俗芸能

有福神楽保持者会

島根県西部、石見地方に伝わる神楽のひとつで、浜田市下有福町において明和年間(1764年〜)頃から伝承された有福神楽。保持者会は1700年代に設立したといわれている。もともとは神職によって奉納されていた神事が、やがて氏子たちもともに奉ずるようになり、明治以降、太鼓や笛のリズミカルな音色にのせて、絢爛豪華な衣装とともに派手に舞いあげる劇性の高い神楽となった。石見地区の多くの神楽がテンポの速い八調子を主体とするものに変容しているが、有福神楽には六調子を主体とする、ゆったりとしたテンポの舞も多く残される。1964年、島根県指定無形民俗文化財となる。伝統的な舞の伝承とともに、創作神楽にも力をいれて取り組んでいる。毎年10月第2日曜日、下有福八幡宮の例大祭で、夜9時から明朝6時まで神楽を奉納。近隣の祭りやイベントなど、年間をとおして約40公演ほど行っている。
出演記録映画 | http://www.polaculture.or.jp